カラーラット

金ちゃんと私|第一話:袖に忍び込む舐め上手なコンパニオン

港のとあるペットショップで、ちょっとかわいいラットに出会った。そう、ラットである。白色で優しい垂れ目をした子。店員さんにケースから出してもらい、そっと手の上に乗せてもらう。すると、すすすーっと袖の中に入り込み、くるりと反転して袖口から顔をひょっこり。「ウインク」までしてくるではないか。「なんだこのコンパニオンなラットは!」
シマリス

シマリスと私|第一話:小さな資産家の貯めた宝物

シマリスとの付き合いは長い。出会いがいつだったかなんて忘れてしまうくらい、シマシマはいつも私の近くにいる。ふわふわの尻尾とシマシマ模様の体毛が特徴のかわいいやつなのだが、特に面白いのが「貯める」という習性だ。ひまわりの種をあげると貯める。ナッツをあげると貯める。「これは貯めるとやばくないか?」というものまで貯める。
チンチラ

チンチラと私|第一話:要塞のような伴侶動物部屋

「もふもふの丸い目をしたかわいい子」これがチンチラを初めて見たときの印象だった。我が家には、エアコン完備の“伴侶動物部屋”がある。365日24時間、室温を25℃に保ち、チンチラだけでなく、暑さや寒さが苦手な伴侶動物たちが快適に暮らせるようにしている。特にチンチラはアンデス山脈の生まれで、低温・低湿度を好むため、夏のエアコンは必須だ。しかし、冬の寒さに弱い子もいるので、一年中エアコンを稼働させている。この“要塞のような伴侶動物部屋”を作ったのには、それなりの理由がある。
ウサギ

ウサギと私の遺伝子|第一話:かわいさに抗えなかった日

港町のペットショップで、私は運命の出会いを果たした。ケージの中で無邪気に跳ねる小さなウサギ。オレンジ色のふわふわした毛並み、丸い顔、そして驚くほど小さな耳。「かわいい」と思った瞬間、私の遺伝子が暴走を始めた。気づけば、ウサギ用のケージと用品を抱え、3羽のネザーランドドワーフを迎え入れていたのだ。
デグー

デグーと鳴き声で会話できるか?|第一話:太っちょでうるさい奴との出会い

港の、とあるペットショップで、私はちょっと太めでやかましい奴と出会った。ケージの中で仲間とモゾモゾ動き回り、時折「きゅ〜!きゅ〜!」と鳴いている。よく見ると、目が垂れていて、妙に愛嬌がある。「よく慣れて賢いですよ」と店員が言ったその瞬間、私より早く相方が第一システムを作動させた。気がつけば、私の会話を奪い取り、相方と店員の間でデグー談義が繰り広げられている。そして、手のひらの上で見上げながら「きゅ〜!きゅ〜!」と鳴くデグー。……もしかして、この鳴き声を極めたら、デグーと会話できるのでは?私の頭の中に、突如として壮大な妄想が広がっていった。
伴侶動物コラム&体験談

猫と私の時間旅行|第一話:9歳の少年に戻った日

9歳のとき、私は猫に捨てられた。段ボールの中で震えていた野良猫を拾い、一緒に寝た。だけど、翌朝にはいなくなっていた。それが、私の中の「猫」という存在のすべてだった。以来、私はずっと猫を遠ざけて生きてきた。ところが、ある日──。いつものように保護施設を訪れた私は、相方に連れられ、分厚い鉄の扉の前に立っていた。その向こうには、虐待され、傷つき、隔離された猫たちがいた。そして、その中にいたキジトラの猫と目が合った瞬間、私は9歳の少年に戻る。
伴侶動物コラム&体験談

野良犬・黒と少年の釣り日記|第一話:秘密の場所にいた相棒

昭和70年代の終わり、まだ野良犬が当たり前のように町を歩いていた時代。小学生だった僕は、放課後や週末になると、自転車を走らせ「秘密の場所」に向かっていた。そこにはいつも、黒がいた。首輪もなく、どこからともなく現れる、ゴールデンレトリバーのような黒い犬。魚が釣れると、黒は嬉しそうに跳ね、僕が座ると隣にちょこんと座る。ただそれだけの時間が、なぜか心地よかった。これは、そんな僕と黒が過ごした、静かで穏やかな日々の記録だ。
ミニチュアダックス

おっさん犬とふたり旅|第一話:雪国の保護施設で、おっさん犬と目が合った日

私は45歳にして、人生に迷っていた。迷ったというより、どこへ向かえばいいのかすら分からなくなっていた。ある春の日、相方に手を引かれるまま訪れた保護施設。そこで出会ったのが、ひとり静かに私を見つめる、ミニチュアダックスの「ライム」だった。同じだった。人生に行き場をなくし、助けを求めていた。これは、そんな私とおっさん犬が、一緒に旅に出た話だ。運命なんて信じていなかったけれど、きっとこれは、何かの巡り合わせだったんだろう。